自転車が止まったのは、見慣れたマンション。







『入って』






………
………………
…………………





玄関から足を踏み入れようとしない私を怪訝そうに見る早坂さん。







『どうした?』






「サキさんとは……
会えたんですか?」






『それはあと。

まずカラダふけよ。

上がってシャワーしろ』






「やだ、もう待てない。


さっきから…そればっかりが気になって、
気になって、気になって……」







早坂さんのあの切なそうな顔が頭に焼きついてはなれない。






もしかしたら私たちは終わりじゃないかって決めつけてる。






『ガキじゃねーんだから!

カラダのこと考えろ!


風邪ひいたらどーすんだ』






困惑した表情でわたしを見る早坂さん。






「ガキです。

自分の気持ちをコントロールするなんて難しいです。

わたしの頭の中は、サキさんと会えたのか?


どんな話をしたのか?


久々に会ってどうだったか?


どうしてあんなに切ない顔して帰ってきたのか?


わたしたちはどうなっちゃうのか?


わたしはまだ早坂さんを好きでいてもいいのか?


そんなことでいっぱいいっぱいなんだから……。


自分のカラダのこと心配してる余裕なんてないんです!!」





言っちゃった……―。






一瞬、にらまれた気がした。






怒った……よね?