けいちゃんと別れて図書館前で早坂さんを待つ。






湿った風が髪をさらう。




空は、ふくらんだ灰色の雲が青い空を押しのけていた。






『おーい!!』






相棒にまたがった早坂さんが右手をあげながらこちらに向かってくる。






なんだか切なそうな顔。





ニコッて笑いながら登場する早坂さんを期待していたから、不安が押し寄せてくる。








『つーか、降りそうだな。
乗れよ!』







二人が乗った自転車が動きだしたら、
空からポツポツと雨が落ちてきた。







はじまりの雨か、終わりの雨か。







自分で聞けない弱虫な私は、空に答えを求めて仰ぎ見た。







だんだん雨足が強くなる。






お気に入りのワンピースも、まとめた髪もぐちゃぐちゃ。







きっとお化粧だってぐちゃぐちゃ。







こんな大事なときにサイアク…






だけど、いいや……――






激しい雨音は、

わたしの嗚咽をかき消してくれるから。






矢のように降り注ぐ雨は、

わたしの涙を拭ってくれるから。








冷たい雨は、

ほてった顔を冷やしてくれるから……――。