「ふぇ〜ん。
わたし、けいちゃんみたいに強くなれないよぉぉぉ……」





『わたしだって、強くなんてないから…。


子どもたちは保育器の中で毎日いろんな検査されて、鼻から胃までチューブいれられて、
ミルクを流しこまれて、
必死に大きくなろうとしてるのに……


私は自分のことばかり考えて、自分を責めて…


そんなことしたって過去は何も変わらないのにね。


受け止めて前に進むしかないのにね。


大人になるって、弱虫になるんだね。


小さくても必死に生きようと前を向いている子どもたちのほうがよっぽど強いよ』






そう言いきったけいちゃんの横顔はまぶしくて、一生忘れないと思う。






あまりに、たくましく、穏やかで、力強い。






お母さんになるって、すごいことなんだ。






自分の弱さをも包み込んで、また新しい強い自分になる。






けいちゃんにはずっと憧れていたけど、もっともっと憧れてしまった。







「けいちゃん、かっこいい。
私もけいちゃんみたいなお母さんになりたい!!」






『はぁ?急になに?
愛音には、ムリだね。
もう私の娘みたいなもんじゃん』





「え〜!!妹じゃなくて?……娘!?」






2人で顔を見合わせて笑った。





でも、本気で思ったよ。



けいちゃんみたいなお母さんになりたいって。





私もいつか、そんな日が来ればいいな。