ナースステーションには早坂さんの姿はなかった。
当直あけはだいたい、いない。
「けいちゃん、おめでとう!!」
『愛音、ありがとう』
「けいちゃん…――」
目が腫上がっている。
あんなに元気そうなメールを送ってくれたのに。
『もう、やだ。
昨日は涙が止まらなかったのよ。
恥ずかしい』
嬉しい涙…じゃナイよね。
こんなときは何て言ったらいいんだろ。
早坂さんなら、何て言うんだろう。
わからないから抱きしめる。
また泣かせる気?ってけいちゃんは少し怒りながら、私の胸でたくさん泣いた。
赤ちゃんのことも何も聞けなかった。
ただ、けいちゃんの嗚咽を聞いていた。