『今日は珍しいものを見ちゃったわぁ』





「中谷さん……」






この日はこのまま当直だ。



今ナースステーションには中谷さんと2人だけ。






『好きなのね。あの子のこと』






「ばっ///なに言ってるんすか……」






好き?






『お得意のポーカーフェイスもできてないじゃない』






………図星。






「はぁ、でも付き合ってないですよ?」






『あら、そーなの?

あの子もスキスキオーラが出ていて両思いなのは見ていてわかるのにね』






「うーーーん……

なんつーか、年もけっこう離れてるし、俺、こんな仕事だし。

知り合いも入院してて大変な時期なのに俺だけ浮かれたことしてるみたいで……

なんか色々と考えてしまうんですよ」






中谷さんは別の書類に目を通していて、俺の話を聞いてるのかいないのかわからない。






だけど、視線を書類に落としながらも呟いた中谷さんの一言が俺の心を打ち抜いた。












『そんなことで悩んだって、好きな気持ちがどうにかなるの?』