「中田さん、がんばりましょうね。
誰だかわかります?」





緑の術衣に身を包んで、今日は中田さんの帝王切開術の日。





皮膚を切開したら手をがばっと入れて、ベビちゃんの頭をつかんで子宮のそとへ出し、子宮の底部を押す。




両手でベビちゃんを抱えて誕生!!





2人の元気な男の子をとりあげた。






助産師さんが出生時の決まった処置を施したら、俺の一番好きな瞬間。






ベビちゃんとお母さんが初めての対面をする。






中田さんは声をあげて泣いていた。





“あったかい、うれしい”って…





その声を聞きながら、俺は時間との勝負。





なんせ、ベビちゃんが出たあとの子宮は大量の出血がはじまっている。





のんびりなんてしていられないのだ。





だけど俺は縫合に自信がある。




だから、大丈夫…――。