「これは今の俺の正直な気持ちだから、聞いて欲しい。


今、俺の中にはおまえがいっぱいいる。


気になるし、目が離せない。


俺にはおまえが必要だ。


他のやつになんか渡したくない。


だけど、
葛藤する自分がブレーキをかけてる。


マスターがこんな状態のときに、俺だけいいんか?とか。


歳の差は大丈夫か?とか。

だから、
もう少しゆっくり自分と向き合いたい。


もう少し考えさせて欲しい。


勝手でごめん。」





あいつはニコッと微笑んで、話してくれてありがとうと言った。





そして俺はかっこ悪くなんかない、って。




真剣に考えてくれて嬉しい、って。





ほんとうの俺はこんなに決断力がなくて臆病者なんだ。





医者なんてできたもんじゃねーな。





こんな弱い自分、誰かにさらけだしたことあったっけ?





もう思い出せねーや……。


こいつと会う前の自分なんて。







それから俺たちは、夏の終わりの声をききながら星を見上げた……――。





***早坂先生side***
―end―