嫉妬にも狂っていた。
あいつが“好き”って言っても、俺の頭の中にはハルの弟と並んで歩く姿が焼き付いていた。
問いただしたい気持ちになった。
俺にはそんな権利なんてないのに。
こんな気持ちは初めてだ。
自分の中にこんな感情が眠っていたなんて……――。
「おまえといると、いろんな感情に気付かされる。
自分が自分でいられなくなる。
いや、これがホントの俺なのかな。」
どういう意味ですか?って怪訝そうな顔をしているあいつ。
「おまえも大人んなったらわかる」
いろんな感情を抑えこんで、自己コントロールして。
社会に合わせて。
自分の位置と限界を知る。
それが大人になるってこと。
だけど、
俺はあまりに多くの感情を殺し過ぎて、ホントの自分を見失っていた。
それを気付かせてくれた。
いろんな感情を引き出してくれた。
俺にはこいつが必要だ…――。