兄*吉井 晴人・・・16歳。
「まぁ。
うちの娘なんかでよろしいのでございますか?」
目をまるくするピアノ講師の女。
『えぇ。うちも商売をしている以上、結婚相手は素行の知れた方の方がいいのです。
娘さんは確か今、晴人と同じS高校に通ってらっしゃいますよね?
頭も良い方みたいで、以前お見かけした時も、かわいらしい方で
是非うちの息子の許婚になって頂きたい』
「ありがたいお話しありがとうございます。
‘吉井フーズ’さんのお家に嫁がせていただけるなんて、夢のようですわ。
なんせ、うちも主人が商売をしているもので・・・
そうなれば、強力な後ろ盾ですわ。オホホホ」
吉井家両親とピアノ講師女の画策で、あっという間に許婚の話は決まった。
ピアノ講師女の計らいで、自分の代わりに娘をレッスンに来させるという。
若い2人だから、会う機会が多くなれば、おのずと結ばれるだろう。
2人を無理に説得する必要がなくなる。
そう、考えたからだ。

