まるで、漫画の主人公のように、目を何度もぱちくりとしてしまった。






目の前にはドーンと白くそびえたつ見覚えアリアリな白いマンション。







「……どした?入って。
フフ……何もしないって」







お兄さんは、玄関前でフリーズしてしまった私を‘警戒している’と勘違いしたようだ。









私は玄関入ってすぐに相棒の自転車をさがす。








ほっ……ナイ。








「同居人は忙しいやつでさ、めったに家にはいねーよ。

今日もいねーみたいだな」







そうだよね、家なんかに居るほうが珍しい。







いつも家庭教師の日は玄関を入ってすぐ横の早坂さんの部屋へ直行。








だから
同居人であるお兄さんとは面識がなかった。








私は、廊下の途中で乾燥機に服を放り込んだ。








家中にたちこめる思い出の匂いが胸の奥をズキズキさせる。