『そんな日にね…

見つけたんだ。

絵本コーナーにいる愛音ちゃんを……

その瞬間ね、かっこ悪いけど、“運命?”とか思っちゃったんだ。

俺はいてもたってもいられなくてすぐに声をかけた。
はじめはね、似てると思って声かけたんだ。
前の彼女に…』






「似てるから声かけたの?
お兄さんの言ってた、“代わり身”ってこと?

前の彼女と私を重ね合わせて見てただけなんだよね?」





『ちがうよ!!』





見上げたら、吉井君の瞳は変わらずまっすぐだった。





「……。
確かに愛音ちゃんは似てるんだ。
前の彼女に……
笑い方とか、少し抜けてるところとか、絵本好きで、“ジョン・カール”が好きなところとか。

だけど代わり身だなんて思ってない。思う分けない。」







スタッ!!突然にソファから立ち上がる吉井君。






少し荒い口調。





顔が苦しそう。










吉井君の心の中には、まだ彼女がいるんだ・・・





“代わり身だなんて思ってない。思う分けない。”
これはきっと自分に言い聞かせた言葉なんだね。







「吉井君…さっきの、同じ大学行く話、少し考えさせて……頭の中整理したい。」






『わかった。』