「そんなはずないです!」
思わず声を荒げてしまった。
私たちは傷ついた同士なんだ。
“一緒に信じられるものを探そう”と言ってくれた吉井君のあの言葉が嘘だなんて、これっぽっちも思わない。
『そぉ?
じゃ、例えばさ…
君、図書館で告白されなかった?』
「えっ…どうして、それを…。」
トクン…
胸の奥が小さく波打った。
『フフ…。やっぱり。
あれはね…
“罰ゲーム”だったんだよ』
…“罰ゲーム”……?
「………………。」
『あの時、携帯ならなかった?』
確か…
私の生徒手帳を取り合って、電話がかかってきて…
吉井君はいったん部屋の外に出たんだ。
戻ってきてから5つの質問されて…“付き合って”って言われた。
「携帯、なりましたケド…」
『あれ、俺〜♪』
口角を上げながら近づいてくるお兄さん。
怖い…この人。
なんなの?
私の目の前に立ちはだかると、あごをクイッと持ち上げる。
『嘘だと思うなら、あいつに聞いてみな』
ニヤニヤ笑みを浮かべながら、斜め上から見下ろされる。
馬鹿にしたような。
見透かしたような。
寂しい目。

