目も合わせずに私の横を通りすぎて行ってしまった早坂さん…
私がいるの、気付いてたよね?
うんん…
気付いてなかったとしても、あの距離でスレ違ったんだもん……。
気付いてないはずがない…
あの人が一緒だったからかな…?
信号が青に変わって、だんだんと距離が縮まってきたときに気付いたんだ…
隣には中谷さんがいた。
携帯で話していたから、私には気付いてなかったけど…
2人が付き合ってるというのは本当だったんだ…
こんな所で会ったのは
奇跡でも運命でもなかった……―。
ただ
私の運が悪かっただけ…
2人のデート現場に居合わせるなんて……。
でも…
挨拶くらい交わしてもいいんじゃ…
私にはそれすら許されないの?
そうとう嫌われちゃったみたいだな…
こんな関係になってしまうなら
勇気をだしてサキさんのこと言わないでおけば良かったのかな…
私…どうすればよかったの?
もう、わかんないや…
だんだんと
ココロが震えだして
目頭が熱くなってきた……―
「お母さんごめん!
私、図書館で借りたい本があったんだ!
さきに帰ってて…」
そう早口でお母さんに言うと、横断歩道をダッシュで渡りきって図書館まで走った
走っても
泣いても
お似合いの2人が並んで歩く姿が頭からはなれなかった……―

