これは早坂さんの優しさ。
私が下心まるだしで、
服も下着も気合い入れまくりで来たの…
気付いてたんだ…
私が惨めな思いをしないようにくれた魔法の一言!
こんなに優しくしてくれる人に…
もうウソつけないよ。
サキさんの事知ってるのに、自分だけが傍観者のように振る舞っていられない…
「早坂さん…
私…サキさん知ってます。」
『はっ!?なんで?』
驚いた表情で立ち上がる早坂さん
「前に…
掃除したとき、たまたま写真見ちゃって…
私のよく知ってる人…でした。
黙っててごめんなさい。」
『はぁ…。んだよソレ…。』
眉をしかめて納得のいかなそうな表情の早坂さん
「「黙っててごめんなさい!」」
私は大声で叫んで部屋を飛び出した
『おい!待て!!』
振り向かない!!
泣かない!!
早坂さんに心配させちゃいけない…
私が泣いてたらいつも助けてくれるんだ。
優しい人だから…
走って…
走って…
走って…
途中で出会ったタクシーに飛び乗った
そして私は
タクシーの中で、崩れ去るように泣いた
タクシーのおじさんは
さすがベテランで…
何も聞いてこなかった。
それだけが救いだった……―。