振り向くと…





「吉井くん!?」




遥か斜め上から見下ろされている私。




[吉井 旬]くんは、3年になって初めてクラスが同じになった。


成績優秀、スポーツ万能で、サッカー部キャプテン。

県内有数の進学校であるうちの高校を主席で合格し、新入生代表の挨拶もしてたっけ…


おまけに長身で端整な顔をしているから、女子に大人気なのだ。




うちの学校で吉井君の事を知らない者はいないだろう…






『横尾さん、そういう本好きなの?もっと小難しそうな本を読んでるイメージだったよ。』



吉井君はそう言うと、
ふんわりと目にかかりそうな黒髪を、左手でクシャとまとめながら笑った。






小難しいって…
私って一体どんなイメージなの?



自問自答してみるが答えは見つからない。






しかし、知った顔を見る事ができて安堵感が溢れ、ついニヤけてしまう。