『横尾さーん!おはよう!

大丈夫?風邪はもういいの?』






山岡さんが元気に声をかけてくれた








2日間も休んで学校に行くのは少し不安だったけど

山岡さんの明るい声にひと安心する









「うん。ありがとう…」





『横尾さん…?』





…???






山岡さんが声をひそめる





『やっぱり…吉井君と付き合ってるんでしょ?』





「えっ?どうして?」






『だってさ、
帰りのホームルームに先生が《横尾さんにプリント届けられる人?》って聞いたのよ…

そうしたら、吉井君が《俺が行きます!》って…

みんな言ってたわよ?

やっぱり2人は付き合ってるって…』







「違うよ…。ただ近くの塾に通ってるから…って言ってたよ?」







『なぁーんだ!それだけ…!』



「うん…そうだよ。」





吉井君…
みんなの前で手を挙げるの、恥ずかしかっただろうな…






きっと、私がひとりなの知ってるから…







誰も手を挙げてくれる人なんていないのをわかっているから…









だって…
塾カバン持ってなかったし…
塾があるのとは反対方向に行っちゃったもん…




アレ?って思ったんだ…







知らないところで惨めな思いをせずに済んだ






吉井君にお礼言わなきゃ…