…ピピピ…ピピピ…ピピピ…ピピピ…






わりぃ!




手をあげて謝りながら
胸ポケットから携帯を取り出す早坂さん






『はい。

………………はい。…はい。

あー、それは小児科の先生に聞いてもらわないと…

僕らの分野じゃないですから…

…はい。

…………。』






院内コールによって遮られたわたしの勇気






今すぐにでも“好き”って言っちゃいたい





でも、そうしたら
私はこうして早坂さんの隣にはいられなくなる






やっぱりこの関係がこわれるのは耐えられない…





『わるい!
何??なんか言いかけた?』





電話を終えた早坂さん






「いえ…。
忙しそうですね…

でも、いろんな人に頼りにされてすごいな!」







『おぉ!?

そう…だな…。俺、頼りにされてるんだよな。

ヨシッ!!もうちょい頑張ってくるわ!』





そう言うと、早坂さんは急いで仕事に戻っていった








一緒にいられた時間は
たった数分だった






でも
この時間がたまらなく嬉しい






早坂さんとは会えるだけでラッキーなのだ






ましてや私のために貴重な時間を作ってくれるなんて





この上なく幸せなことなんだ






私はそんな風に考えるようになっていた……―