「…さん!
早坂さん!!」






(……急患か!!??)






ガバッと慌てて起き上がる





目の前にはあいつの顔が






ホッ……




週に2回も宿直室で寝泊まりしていると、
自分がどこで寝ているのかわからなくなるときがある




『やべ…
ここにいると寝ちまう…

とりあえず出るか!』






早く外の風にあたりたい





俺は会計を済ませ、レジの店員に“マスターにまた来るって伝えといて”とだけ言って店をでた







「早坂さん、お金…
ほとんど私が食べてたし…いくらでした?」






『はっ!?
俺は社会人だぞ?

いらねーよ!』






「でもっ!私いっぱい食べたし…」







ガシッ!!







あいつの両肩に手をおく







ほそっ!やらけー…
ちっちぇ……






『おまえ、こんなに痩せっぽっちじゃ大人の魅力が出てこないぞぉ!!
しっかり食ったんならいいじゃねぇか。

素直に甘えとけよ!』







「はい。ありがとうございます…

でも…早坂さんはやっぱり、大人の魅力がある人がタイプなんですか?」






俺のタイプ?

そーだな…

身長は高いよりも低い方がいい

キレイ系よりもかわいい系

静かよりも元気系……




…………――!!






瞳をウルウルさせながら俺を見上げているあいつ…






『そーだよ!!!
あたりまえだろ?

大人なんだから!ハハ…』






なんて大人気ないウソをついてしまったんだ……





情けない……




「…そう、ですよね……」





伏し目になるあいつ



俺は今、酔っているんだぞ?
平常心を保つのに必死なんだ。



そんな顔するなよ!!





―end―