「詳しいんですね?
ピアノやってたんですか?」





真っ赤になった頬を小さな両手でつつみながら尋ねてくる







『あー。
昔少しだけな?
うちの母親が実家でピアノの教室をしているんだ。
そのついでに俺も…

でも、イヤイヤやっていたから小5くらいでやめちまった』





「へぇ。
そうだったんですか。」





『おまえのショパンは元気だなー!!
子どもが跳ねてるみたいだったぞ?』







「えっ!?
甘い恋のワルツ……」






『はっ!?』






「いぇ…なにも……」





『おまたせしました。』






テーブルにパスタやサラダが並んだ






『こちらはマスターからです。』






グラスにワインが注がれる




『あっ、待って!
悪いんだけどこいつ未成年なんで…
俺の分だけでいいよ!』






マスターも久しぶりにピアノが演奏されて嬉しかったんだろうが、お礼にワインか…








飲むつもりはなかったんだけどなぁ…






まっ、仕方ないか…







「うわぁ。おいしいそう♪」





『おぅ。
しっかり食えよ!!』






「いっただっきまぁ〜す」






トマトソースのパスタを一気に頬張るあいつ





「…ほぃひぃ〜」





『のみこんでからしゃべれよ!』





満面の笑みで食べるあいつ




子どもだな…