『うーん…
ピアノの話しねぇ…。
前に付き合ってたやつが
この店に来る度に弾いてたんだよ。
別れてからは知らねぇなぁ?
俺もその頃、試験やら研修生やらで毎日が忙しくなって
この店には全く来れなかったしな。』
…――ズキン…――
“前に付き合ってたやつ”そんな人、いて当然なんだけど
やっぱり本人の口から聞かされると辛い…
知りたかった早坂さんの過去
少しだけ…
知ってしまったことを後悔した
「その彼女さんとは
どれくらい付き合ってたんですか?」
『えっとー…
高校1年からだから、
8年くらいだな。』
「長っ!!!!」
『そうか?
付き合おうと思うやつなんて、そうコロコロ次から次にいねーよ!』
…――ズキン…――
自分に言われた気がした
“コロコロ次から次にいねーよ”の中に私も入るんだろうな
でも頑張る!
ここで弱気になっちゃだめ
こぶしをギュッと握りしめ、自分をふるいたたせる
「早坂さん!
私頑張りますらから!」
『は!?何を?』

