『わたし…
学校辞めようと思ってたんだ』







「えっ…あっ…うん……。」






それは…なんとなく…ね、私も考えていたよ…――






でも、仕方ないのはわかっているんだけど……






言葉にして聞く勇気がなかったんだ







『…――でもね?
伊藤先生が…

妊娠したからって学業を諦めることないって…

前例はないからまだわからないけど、休学扱いにしてもらえるようにお願いしてくれるって…

………
…………
………………
って…




なに泣いてるのよ!』






わたしの心の中は大洪水だ…


さっきから抑えようとしているのに



震えが止まらない―――




冷たい涙が次々に溢れだしてくる







「……ごめ……っく……
わかってるの…
…でも……ごめ…ごめ…ん……――」








『…もう…――
いなくなるみたいじゃない!やめてよね!』






そう言ったけいちゃんの声が震えている








「うん…――。」






けいちゃんとこうして、あと何回この校門をくぐれるんだろう







散ってしまった桜の木の下で、たんぽぽが黄色いじゅうたんを敷いている







たんぽぽのわたげが飛びたつ頃には私は1人この道を歩いてるのだろうか…――






ちょっぴり切ない放課後の帰り道……







うっすら伸びた2つの影が寂しそうに寄り沿っていた