《ガラリ》
行くあてなんてない私たちは保健室に避難した
『あらぁ。
どうしたの?』
梶山先生が出迎えてくれた
声の落ち着いた感じとは似合わない、幼い顔
幼い印象に見えるのはボブのせいかな?
『この子ちょっと体調わるくって……
少し休ませてもらえますか?』
こんなに泣き腫らした顔をして
何かあったのなんて
一目瞭然だ……
サボりがバレバレ……
梶山先生は“ふぅ〜ん”と私たちを伺うように見る
先生…顔ちっちゃいな…
目がクリンとしてまるでお人形みたいだ
『まっ…いいか!
ベッドなら空いてるから好きに使っていいわよぉ』
『やった♪
さすが先生!!
話しわっかるぅ〜♪』
『あら?花戸さん…。
私は教師として当然のことをしているまでよ?
』
誇らしそうにそう言う先生が、なんだか背のびをして言ってるようで
かわいい……――
「先生…なにしてるんですか?」
『あー、これ?
校内ポスターを作ってるの!“手洗いうがい”のね?』
校内ポスターだというのに
先生の机の上にはいろんな色の絵の具や
大小さまざまな筆が投げ出され、
とても素人の持ち物だとは思えなかった
「これ…先生の絵ですか?」
『えぇ。そうよー!』
『うまっ!!』

