『おい!あれ母さんだぞ?』






玄関前の階段に俯きながら座っているお母さん








いつもの威勢のいい感じとは違って、とても小さく見えた






……
………
…………






「お母さん……
急に家飛び出して…ごめんね?
けいちゃんのこと言われて…ついカッとなっちゃった。」







素直にそう思えたんだ






お母さんだって100%じゃないって気付いたから…






『えぇ。びっくりしたわ。愛音ちゃんがあんなことするの初めてだったから…

もういいわ
さっ、家に入りましょ!

優成と一緒になったのね?
お帰り。』







お母さんはそれ以上なにも言ってこなかった







今までの私なら
お母さんの望み通りにふるまえなかった自分を責めていたと思う








でも
今日はそんな気分ではなく





心にスッと一筋芯が通ったみたいに凛としていられる自分がいる









自分の意思で生きたって、お母さんの理想の自分じゃなくたって、お母さんは私を見捨てたりしない







そう思うと、心の重荷がスッと降りた