『まぁでも…

お母さんが学力や才能をつけようとしたことだって、おまえたちのことを思ってしたことだ!

それだって愛情に変わりはねーよ!!

だから自信もて!!

大学受からなくてもスポーツ辞めてもお母さんがおまえたちを思う気持ちは変わらねー!!』







早坂さんの落ち着いた低い声が、ズドンとココロに響く









“自信”







そう……
わたしに足りないもの






お母さんに愛されているという自信のなさがこんなにも大きかったなんて……







絶対的だったお母さんの存在が、弱さを持っているひとりの人間だと気付かされる






わたしが家出したのに追いかけてこなかったのは
きっと追いかけてこれなかったんだ





どうしたらいいのか分からなかったから…






お母さんだって100%じゃないから言ってはいけないことだって、わかってても言ってしまうときだってある








わたしたちに学力や才能をつけようとしたのだって、人間の弱さを知っているから……






鎧(よろい)をつけようとしたんだ






“自律しなきゃ”






お母さんの思いと自分の思いを混同させないように
自律しなきゃ……






優成の言った通り、私だって目からウロコだった