ハァ…ハァ…ハァ……
逃げ込んだ場所は真っ暗な公園。
すべり台とブランコと砂場しかない小さな公園。
街灯がひとつ立っていて、その明かりを頼りにブランコのガードに腰を落とす。
さすがに当直あけで1日中うごいたカラダにダッシュはきつかった……
「ハァ…ハァ…ケホッ……」
俺の隣でガードに腰かけながら胸に手を当てているあいつがいる。
弟は……
すべり台に腕組みしながらもたれかかっている。
『さすが!
若いだけあるなーーー!
呼吸ひとつ乱れてないじゃないか。』
『は?誰っすか?
何でこんなこと……
俺あしたっから先輩にどんな顔すりゃいいんですか!』
「優成……
この人は早坂さん。
先輩って…
高校生くらいに見えたけど、どこで知り合ったの?」
『ふん。ねーちゃんには関係ねーよ!!』
そっぽを向いてしまう弟。
「優成…
水泳とサッカーの両立がしんどかったんでしょ?
しんどいーって、お母さんに言えばいいじゃない!
私が一緒に言ってあげようか?」
姉らしい諭すような口調。
ふーん。
弟にはこんなふうに話すのか……
『サッカーだって行ってねーよ!!
もういいんだよ…
俺なんか…
母さんは、ねーちゃんさえいればいいんだ。』
――…んん?
さっきも母さんがどうとかって言ってたよな??
何なんだ!?

