■episode06:恭介■




目の前で繰り広げられてる光景に、息をするのでさえ忘れてしまう。



あんな姿を見たのは初めてだった。



マイクの前に立つ琉莉は、いつもの琉莉とは違う。



透き通る歌声と、歌う時だけは声の音調が違う。



ソプラノとアルトの音を上手く使い分けるその声に、



俺は魅了されていた。



あんな琉莉は初めてだ……。



この前、学校で歌った時とは全くの別人。



いつも妹みたいな琉莉が、今日だけは違って見える。



琉莉が輝いてる瞬間。



すげぇ楽しそう。



なんか俺まで楽しくなって来る。