俺はこの時から、薄々気付いていたのかもしれない。



琉莉の気持ちに。



俺の為。



そう言った琉莉に…。




俺達は大人になっていく。



だからかもしれない。




俺がまだ気付かないふりをしていたのは。





「恭!! 聞いてる?」

「聞いてなーい」

「恭の馬鹿!!
もう知らないっ!!」

「ごめんごめんっ!!」



俺は琉莉と幼馴染みという関係を崩したくなかったのかもしれない。



子ども以上、大人未満。



……でも。



心と身体は無意識に大人になろうとしていた。




そうはっきりとわかったのはまだ先だが…。