恭介の仕事の事なんてわからない。 どんな環境なのかもわからない。 だけど、恭介がモデルの仕事をどれだけ好きかは知ってる。 世界一になるのが夢だって言った時のあの顔。 あたしは忘れられない。 ……忘れられるはずがない。 「うぅ……」 どれだけ今足掻いたって、恭介には届かない。 せめてメール打つ勇気さえあれば、電話する勇気さえあればいいのに。 そんな勇気の欠片さえあたしにはないんだ。 多分あたしは恐れてる。 また恭介のあんな姿を見る事を。 そして、あたしがその姿にさせてしまう事を。