何か言ってやらないと落ち着かない。



我慢しようかなって思ったけど、さっきの舌打ちが利いた。



「は? なんスか?」

「仕事真面目にしろっつってんの。
わかんねぇの?」

「それをあなたに言われる筋合いはありませんよ。
だいたい何なんですか?
俺はいたって真面目ですよ」

「撮影中、コソコソ言ってくる奴のどこが真面目なんだよっ!!」



最後の方はもう声を上げていて。



「俺が舌打ちしたいぐらいなんだよ……」



半ば諦めた声だったと思う。



「……そんな事なら、アメリカに戻ればいいじゃないッスか。
何で日本に帰って来たんだよ。
俺だって、ギリギリの所でやってんスよ」