そいつは人込みを掻き分け走って来る。 そして…… 「恭ーっ!!」 人目も気にせず俺の名前を呼び、前に来る。 「っ…おかえり恭っ…」 「ただいま、琉莉」 「…うぅっ……」 「泣くなよ…」 「だってぇ…」 ――ねぇ、泣かないで笑って? 「会いた…かっ…たよぉ…」 「俺も、会いたかった」 ――また君に会えてよかった。 いろんな思いを背に、また新たな生活が始まる。 世界は広い。 未知なる世界はたくさんある。 世界を…より広い世界を…… ――俺は見たい。