■episode34:恭介■





あの時の俺は何を思ったか、覚えてない。



ただスポットライトのあたるステージを、無になった俺は歩いた。



ステージの脇には社長がいて、会場の隅には先生がいた。



幾つもの衣装に急いで着替えて、また歩く。



そんな感覚だけが残ってる。



その後も仕事に明け暮れた。



学校にもろくに行かず、とにかく仕事だった。



写真集の分の撮影も、1週間まるまる寝る間も惜しんで撮り終えた。



この1ヵ月、本当に試練だったと思う。



倒れかけた事もあった。


これだけやって世界一にならなかったらとか考えた。