『世界一になるまで、恋はしちゃ駄目だよ』




社長は、笑ってた。



目だけは笑ってなかったけど…。



「恋をするから、伸びるって人もいるかも知れない。
だけど恭介君、君は世界一を目指してる。
世界一は別格であって、簡単になれるものじゃない。

何かの犠牲を払ってまで掴む価値が、君にはあるかい?
あ、もちろん世界一になったら、恋していいよ。
世界一は融通が利くし。
それに日本の少子化は厳しいからね~。
で、どう?」

「あります」



俺は即答した。



世界一になる為なら犠牲する覚悟はある。



「その目、僕は好きだよ。
迷いのない、その目」




俺に迷う資格はない。