小さい頃から恭介の後ろ姿は見ていたけど、いつの間にかあんなに大きくなっていた。 「っ…恭介!!」 「お、琉莉じゃん。 仕事終わり?」 「恭介も今学校終わったの?」 「まぁな」 エレベーターに乗り込み、10階のボタンを押す。 2人きりの密室。 恭介から漂う匂い……。 女物の香水。 その匂いはあたしの嗅覚を刺激する。 人間の嗅覚は凄く脳裏に焼き付く。 あたしはこの匂いが大嫌い。 だってだって!! さっきまで女が近くにいたって事でしょ? あたし以外の誰かが……。