スイッチ

一人になり、当たり前だと思っていた全てが、当たり前ではない事に気づいた。掃除、洗濯、食事の支度、点けっぱなしの明かり。 全てが何もしなければ、何も起こらないのだ。 一人の時間が欲しいと考えたのは、いつも家族に囲まれていたから。休日の朝も午後まで寝ていたとしても、何らかの音が不愉快だった。家族サービスなど、うだつの上がらぬ父親の典型がするものだと思っていた。