スイッチ

置き場の無い私は、高校の卒業とともに家を出たのだった。
ページをめくると数少ない学生時代の写真。
その後には就職先で撮られた義理笑いの写真。
私だけ色が無い。早く今日が終わればと、一日一日を静かにやり過ごし月日が経つ事、それだけを頼りに生きていた。
どうしてこんな物、とっておいたんだろう。そんな事を考えながら少しでも力をかければ、ちぎれてしまいそうな表紙の隅に、一番辛かった印刷工場での写真。
ワンマンな社長を囲む様に汚れた作業着で笑う従業員一同。