スイッチ

ある日、冬の始まりの午後、日向でアルバムを眺めていた。
偽物だった華やかな暮らしの写真。
私は知らぬ顔の中で笑っていた。どれも同じ笑顔で。ページの初めには若かった頃の父と母に抱かれ、懐かしい家の前で笑う私。写真の裏に書かれた『幸代2歳の誕生日』と書かれた文字。父の字だった。