たった一晩。たった一晩、すこしだけ魔がさしただけの話。気にするようなことじゃない。お互い初めてなんかじゃないもの。シャワー使うねー、と言って消えていく遼の背中を見つめ思った。

シャワーの音を聞きながら、ひとり、ふたりの食器を洗っていた。

気にしてはいけない。

忘れなくては。

私の彼氏は誰?

悠だよ。

分かっていても罪悪感は拭えない。事実は事実であり消し去ることも出来ない。
この一晩のことは隠し通し、繰り返さないことが、私が間違いを償う唯一の方法であり、最善の行動だと思うのだ。