その手が愛純の顔にモロ命中してしまった。

バシッ


あ・・・。

このとき、やっと俺は冷静になれた。
俺は、人を叩いてしまったんだと、やっと気付いた。

両親と同じことをしたように思えてきて、全身がサーっとした。




「ご、ごめんなさい・・・!僕、その、こんなことするつもりは無くて・・・。」


「ぁはは、うん。わかってるけど?」


と、愛純は笑った。
そしてこの瞬間にきっと、俺に纏わり付いていた鎖から解放されたのだと思う。



“この子なら大丈夫”


少し怖かったけど、どこか、心の奥でそう思えた。