フッと言って

「言うかと思った。」

と笑った。
そしたら

「一応俺たちは世間的には婚約者。これはお前も俺も納得してない。だったらさ、こーやって2人でいるときぐらいは友達でいたっていいじゃねえか。俺はお前を嫌いじゃないし。ふざけてるときとか、からかったりしてる時、意外とおもしろいし、さ。」

髪を掻いた。
・・・そっか。
蒼は私と同じ気持ちで居てくれたんだ。

いっつもひどいことばっかり言う人かと思ってたし。
でも、やっぱり私の考えは正しかった。
蒼はいい人だって。

「私も同じだよ。」

「・・・そ。だからさ、せめて、お前の中では仲のいい友達と思ってくれねえか?お前となら女でもいい関係が築けそうな気がするんだ。・・・もちろん、友達として、な?」

「うん・・・。」

「俺も一応婚約については破棄、延期とか遠まわしに抗議してみるけど・・・ダメだったらごめん。」

「わかってるよ。じゃあ、ハイ。握手。」

私は蒼に手を差し伸べた。
そしたら照れくさそうに握った。

「よろしくね。」

「ん。」