「まぁ、そーだな。」
何でさっき聞いたんだよ?
あんなこと──────。
「でも、俺が消えたらなんも意味が無いんだ。」
「え?」
哀しそうな目で遠くを見た。
まるで、何かに手が届かないというように。
「俺も人間だしな。いくら強いとは言え、限界はあるんだ。」
「は?何言ってるんだよ、今更。いつも『愛純を護れるのは俺だけだ。』とか自信満々に言ってるのに。」
すると、ギっと俺を睨んだ。さっきの哀しそうな表情が嘘のようだ。
「そうに決まってんだろ。護れるのは俺だけ。俺だけだから────────だめなんだ。」
「どういう…。」
「だからさっきも言ったろ、俺は人間なんだよ。無敵だなんてない。どっかのマンガの主人公なわけでもない。ターミネーターでもねぇんだ、俺は。」
「んなのわかってるよ。」
「ピンチから愛純を助け出すことは余裕だよ。けどな、それが時と場合によるんだ。───────もし、もしだ。愛純のを護るために、俺が盾になる、おとりになって1対大量の敵という選択を突きつけられたとき。愛純を護れるならば、その選択肢があるのならば進んで選ぶ。」
そして、自分の手を見つめる。