「杏奈の家調べたんだ。」


と彼は嬉しそうに言う。


さらっと普通に言ったが、若干怖いことだ。



「何で?」


「会いたくなったから」



それだけで、彼は私の家を調べて待っていたらしい。


本来ならすっごく嬉しいことなのかもしれない。

でも、私には心底辛い話なのだ。


私の気持ちも知らないくせに、彼は会いたいという気持ちだけでいとも簡単に私の目の前に現れてしまうのだ。