「ハル、そろそろ帰ろっか」 「…そだね」 足元の砂を跳ね上げないようにゆっくり歩く涼。 付き合った頃はほとんど背が変わらなかったのに、 今では私より10センチも上の目線。 お互い初めての恋人だから、私しか知らない涼がいて、涼しか知らない私がいる。 「和也は喜んでるんだろうな、引っ越しすること」 「ほんと単純だから…都会に行くんだー!なんて張り切ってるんだよ」 弟の和也と涼は兄弟みたいに仲が良い。和也が子犬みたいに、涼に懐いているんだけど。