[短編]アスタラビスタ

引っ越しを伝えた時の涼の表情は忘れられない。


いつも優しそうな涼の目元が、とても寂しそうだった。


“遠距離恋愛”と言う選択もあった。


だけど、それはきっと辛くなる。


大好きな涼のことを考えるだけで辛く、苦しくなってしまうと思う。


だから、涼のことが好きだからこそ、別れを選んだ。


辛い思い出より、楽しい思い出のままでいたいから。


ワガママな私の思いに、涼は最終的には頷いてくれた。


「それまで変わらず過ごそう」と。