[短編]アスタラビスタ

「必死に私達を説得したのよ。今まであんな真剣なあの子は見たことなかったわ」



涼のお母さんはなぜか、少し嬉しそうに見えた。



「今朝、目が覚めた時なんかね、何よりも先に“ハル!”ってあなたの名前を呼んだのよ。
私にこの手紙を家から取って来て、ハルちゃんに渡してくれって」


「…そうだったんですか…」


「涼は本当にあなたのことが大切なのね」



涼のお母さんの手が、私の手を優しく包み込んだ。


とても温かくて、安心感のある手。