夏休み初日だからか、映画館は私達よりも若い子がたくさんいた。 上映の少し前に中に入ると、先ほどのにぎやかな雰囲気とは違って、大人の人達が何人か座っていた。 「アスタラビスタ」と言う映画は割と大人向きみたい。 外にいた子達は邦画のラブコメの方へ行ったようだった。 ――しばらくすると照明が落ちて、スクリーンに映像が映し出された。 「始まったね」 私の右側に座る涼に話しかけた。 「うん」 涼は静かに私の手を握った。