「何やってんだ音響はぁ!!!」

その声に弾かれるようにして、一斉にスタッフたちが動き出す。ほぼ同時にファンたちもざわめき出した。

モニターから見ると、輝が戸惑ったように立ち尽くしている。こんな事態は初めてなのか、どうしたらいいかわからないらしい。

「一旦輝下ろせ!」

「しかし・・っ、そうしたらステージが止まってしまいます!」

「構うかそんなの!」

「輝に持たせられませんか!?」

「無理だろう、アイツはトークはダメだ。」

運営スタッフたちが矢継ぎ早にこの後のことを話している間にも、刻一刻と時は過ぎていく。

「照明落とせ!」

誰かの怒号がスタッフに渡されている無線から流れたかと思うと、ステージの照明が一気に消えた。ファンたちのざわめきが一層大きくなる。

輝は!?

真っ暗になったステージでは、輝がどこにいるかわからない。

「輝!聞こえるか!一旦降りてこられるか。」

堂本さんが無線を通して輝に伝える。

「無理だ。照明消したせいで周りが見えねえ!てかどうなってんだよ!」

焦りと不安と怒り。それがないまぜになった声が、無線を通して伝わる。


「ちょっと!どうなってんのこれ!?」

優太くんの声がして振り返る。

「このままじゃステージが成り立たなくなる。なんとか俺たちでもたせます。マイク下さい!」

悠さんがそう言った。
他のメンバーも同様に焦っているらしい。


「そ、それが・・どうやらマイクもおかしくなっているみたいで・・。」

スタッフがびくびくしながら返す。

「んだと!?」

隼人さんが怒っているのが、表情は見えなくてもわかった。