そして、とうとう輝のソロがやってきた。輝にしては珍しいラブバラードのイントロが流れ出した瞬間、客席から溢れんばかりの声援が上がる。
「輝ーっ!」
「輝くーん!!」
「輝ーっ!大好きぃー!」
そんな声の数々を受け止めながら、青白く光るステージの中へ、輝は上っていった。
その背中を見ながら、あたしはただただ美しいと思って、そしてやっぱり輝は別世界の人のように感じる。
目の前にいるのに。
誰よりも近い距離に「今」はいるのに。
輝がステージに姿を現した瞬間、より一層大きくなる声援。いや、それはもはや悲鳴に近かった。
輝は切なげな顔でただ前を見つめる。ラブバラードに合わせたシックな黒いスーツと斜めに被った帽子が、輝のかっこよさを引き立たせる。
そして輝は、静かに歌いだした。
ひどく穏やかな毎日が、
あの頃の僕を包んでた
見えない未来への不安
取り残されたような焦り
幸せだと言い聞かせても
我が儘と思い知っても
きっと何かが欲しかった
モノクロだったんだ世界は
それが普通だと思っていた
だけど君を見つけた
これからAメロのサビに入ろうという所で、何点かの照明が輝の元に集まり出した。
しかしその時だった。
バツン!と、どこかから大きな音がしたかと思うと、音楽が消えた。
一気に静まり返る会場。
一瞬、ステージに立つ輝、裏にいるスタッフのあたしたち、客席にいるファンたち、誰もが何が起きたのかわからないまま、立ち尽くした。怖いくらいの静寂が数秒あった後、弾けるかのように、スタッフの罵声が飛んだ。
「輝ーっ!」
「輝くーん!!」
「輝ーっ!大好きぃー!」
そんな声の数々を受け止めながら、青白く光るステージの中へ、輝は上っていった。
その背中を見ながら、あたしはただただ美しいと思って、そしてやっぱり輝は別世界の人のように感じる。
目の前にいるのに。
誰よりも近い距離に「今」はいるのに。
輝がステージに姿を現した瞬間、より一層大きくなる声援。いや、それはもはや悲鳴に近かった。
輝は切なげな顔でただ前を見つめる。ラブバラードに合わせたシックな黒いスーツと斜めに被った帽子が、輝のかっこよさを引き立たせる。
そして輝は、静かに歌いだした。
ひどく穏やかな毎日が、
あの頃の僕を包んでた
見えない未来への不安
取り残されたような焦り
幸せだと言い聞かせても
我が儘と思い知っても
きっと何かが欲しかった
モノクロだったんだ世界は
それが普通だと思っていた
だけど君を見つけた
これからAメロのサビに入ろうという所で、何点かの照明が輝の元に集まり出した。
しかしその時だった。
バツン!と、どこかから大きな音がしたかと思うと、音楽が消えた。
一気に静まり返る会場。
一瞬、ステージに立つ輝、裏にいるスタッフのあたしたち、客席にいるファンたち、誰もが何が起きたのかわからないまま、立ち尽くした。怖いくらいの静寂が数秒あった後、弾けるかのように、スタッフの罵声が飛んだ。