「今日が終わったら、俺たちにとってもファンにとっても、何か変わる予感がするんだよな。でもこれは悪くなくて、良い感じ。今までにないくらい、今日は楽しませてもらってる。」

輝が淡々と話す言葉の一つ一つは、普段クールな分、心にすごく響いた。

「珍しいなー。輝がそんなふうに言うの。」

「俺だって喋る時は喋んだよ。」

悠さんの笑顔に、輝は照れ臭そうに返した。



そのあともトークは順調に続いて、メンバーの近況、仕事のことなどを話した所で、後半に入ることになった。

音響スタッフが動き出す。あたしも輝の次の衣装とタオルを持って、スタンバイした。

ここから一旦ソロに入る。悠さんが最初で、輝が最後だ。

悠さんが一足早くステージから降りてきた。悠さんの通しスタッフが駆け寄り、着替えなどを補助する。
時間にはまだ少し余裕があるから、悠さんも幾分ゆっくりと着替えている。


「さっきも言ったけど、今日から新しいRが始まる。俺たちは、そういう意気込みでこのツアーをやってる。このツアーはこれから半年続くけど、終わる時、俺たちだけじゃなく、ファンのお前らにも、何か良い変化があればいいと思ってる。

こっからまた、俺たちは新しいステージを駆けてくから。だからお前ら、しっかり俺たちの後ついてこい!!」


スポットライトを浴びた輝が、真剣な眼差しで真剣な思いを語った。それに呼応するように、ファンたちから歓声が上がる。

悠さんがスタンバイを始めた。

「そろそろ始めるぞ!最後までついてこいよ!」

輝が叫び、ステージからはけた所で、再び音楽が流れ出した。