あたしにとってはもう何十曲とも感じられるような、何曲かをやり終えた所で、トークに入った。
その間スタッフたちはつかの間の休息を得る。とはいえ、次のポジションの確認や、機材の確認など色々とやることはあるのだが。

演出スタッフや照明スタッフは、特に気が抜けないため、大変な仕事だとおもう。

しかし水を飲んだり、汗を拭ったり、少しは緊張感から解放されるのは事実だった。

トークは一番Rの力が試される場所と言ってもよかった。ダンスや音楽だけじゃなく、トークでどれだけファンを引き込めるか。コンサートの楽しさを味わわせられるか。

そういうプレッシャーが、この何分かにはある。


ファンたちが見ているメインステージにある大スクリーンの映像が、ステージ裏では、小さなテレビ画面に映し出される。そこでスタッフたちはトークの行方を見守る。


「やー、とうとう始まったねー。なんか、リハーサルの時とかはちょっと不安だったけど、始まってみると思ってたより楽しいよね。」

悠さんが、他の3人のほうを見ながら、そう話す。
隼人と輝はどちらかというといつも聞き役で、あまり喋らない。でも二人とも、今日は興奮しているのか、悠さんの言葉に嬉しそうに頷き返した。

「なんかやっぱ、今までと規模違うからさ、興奮するよね。ちょっと。なんか最初出た瞬間から、もうすごいなって思ってたけど」

「人数が違うからな。」

「うん、でもやっていく内にどんどんドキドキするんだよね。」

優太くんの話の途中で、輝が珍しく声をあげた。優太くんが頷いて続ける。