「うん。・・ケイがね、可愛い子見つけたって言ってたよ。」

「はぁ?」

「輝の通しスタッフなんだってね。輝も気に入ってるみたいだ、ってケイが言ってた。」

あいつ・・、んなことまで話したのかよ。

俺は呆れるやら恥ずかしいやらで、ため息をついた。

「ね、その子名前なんてゆうの?」

ユキは俺が立っているすぐ側まで来て、そう聞いた。

「・・ユキに関係ないだろ。」

てか教える意味あんのか?

「もーいいじゃん、名前くらい教えてくれたって!」

「なんで知りたいんだよ。」

ユキのわがままに、げんなりする。

「それは、だって・・」

すると一瞬、ユキは狼狽した様子を見せた。

なんだ?

「だって、女に興味ない輝が、気に入るなんて、どんな可愛い子なのかなって!」

でも次の瞬間には、ユキはいつも通りに戻っていた。

「なんだよそれ。てか俺女に興味ないなんて言った覚えねーぞ?」

「嘘!だって、あたしの誘いとか全然乗らないじゃん!」

「それはユキが人気女優だからだろーが。撮られたら困んだって何回言わせんだよ。」

「・・あたしはいいもん。」

ユキのお決まりの言葉が、少しむくれたように尖らせた口からまた出た。

「・・お前なぁ、そういうのやめろってマジで。」

冗談か本気かよくわからない言葉を聞かされる俺の身にもなれよ。

どう返していいのかわかんねえし、大体好きでもない女と噂になるなんかまっぴらだ。

ユキのことは友達として、同業者として認めているからきつくは言えねえけど、さすがにいらつく。